春なお早い頃のこと
白樺の木のかげのなか
微笑うかべ 目をふせて
私の前に立った君















「夢ではありませんよね?」

「何がだ」

「貴方がこうして、私の腕の中にいる事が」


木々の合間から差し込める月の光は、貴方の髪を照らして。
貴方の髪は昼間よりも、もっともっと輝いている。
夢のようだった。
欲しい欲しいと望んでは、駄目だ駄目だと抑え続け。
疼く身体を必死に隠し続け、貴方の側にいた。
それだけで充分過ぎる程の幸せを貰ったのに。
貴方は今、私の腕の中にいる。


「愛しています。スランドゥイル王」

「うん。わかってる」

「何故、受け入れてくれたのですか」

「私もバルドを愛しているから。拒む理由はないから」


そう言って私の顔を覗き込んでくる貴方の眼は。
深い闇にありながらも、月の光で輝いて。
綺麗な、静かな、蒼が光っていた。
信じられない。
私の腕の中にいる貴方が、愛してると言ってくれた。
拒まずに、全てを受け入れてくれた。
自然と涙が溢れて、止まらない。















私の愛に黙して応え
そっとまぶたをふせた君
生命よ! 森よ! 陽の光!
ああ 青春よ! あこがれよ!















「何で泣いているんだ、バルド」

「嬉しいからです」

「嬉しい?」

「貴方が私を受け入れてくれた事」

「うん」

「貴方が私の腕の中にいる事が、嬉しくて」

「そうか。私も嬉しい。バルドとひとつになれて」

「スランドゥイル・・・・」

「愛してる、バルド」


幸せ過ぎて、涙が止まらない。
幸せ過ぎて、キスをした。















愛しい顔を見つめつつ
私は頬をぬらしていた
春なお早い頃だった
白樺の木のかげのなか!
はるかにすぎし青春のこと
あふれる涙よ! 幸せよ!
森よ! 生命よ! 陽の光!
白樺の香のさわやかさ!

















A・K・トルストイ 「春なお早い・・・・・・」 より。

好きな詩。バルスラにぴったりだと思った。

それだけの産物。












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