ある日、闇の森の王様は困り果てていました。


「・・・・二日酔いだ・・・・」


闇の森では毎夜毎夜、宴を開きます。
春になり、花が咲き始める頃や、夏になり、花がより一層元気よく咲く頃。
秋になり、森の木が色づく頃や、冬になり、すべてが白い世界になった頃。
他にも何かと理由をつけて、宴を開くのですが、とりあえずそれらの時、闇の森では宴を開くのです。

そして今日。
王様は、昨夜行われた宴でお酒を飲みすぎてしまったのです。
お酒に強いと有名な闇の森の王様も、一人で酒樽を3個空にしてしまえば、二日酔いになるのも当たり前です。


「・・うぅ・・・あ・・頭が痛い・・・・・」

「まったく・・・・あれ程お止めしたにも関わらず、お一人であんなにお飲みになって、二日酔いは当然の報いですよ、スランドゥイル王」


王座に座り、手を額に当てて唸っているのは王様。
そして、その横で溜息を付いているのは、闇の森の顧問長と言われるシンダァル族のエルフでした。

シンダァルとは、古の時代、めざめの湖で目覚めたエルフの三族のひとつである、テレリ族の中の種族を指します。
シンダァル族のエルフは、エルウェ・シンゴルロ、後のシンゴル王というエルフを王として、ドリアスの森という場所に住んでいました。
シンダァル族はその声に恩寵を与えられ、その声は暖かく、そして優しさを含んでいるようでした。

ところが、シンダァル族のエルフはある時を境に、ほとんど姿を見受けられる事はありませんでした。
今、シンダァルの血を引くエルフは極僅かです。
闇の森の王族は高貴なシンダァルの血を受け継ぐ家系であり、王様の側近や、顧問長の数人はシンダァル族のエルフです。


「・・・昨夜はいい酒が・・・エスガロスから届けられたのだ。飲まずしてどうする・・・・」

「飲むなとは申し上げておりません。ただ、限度を知って下さいと申し上げたいのです。昨夜届けられた葡萄酒が、昨夜の内に無くなるのはどういう事なのですか!!」

「・・・・・・お・・・大声を出すな・・・・頭に響く・・・・」


まったくと、顧問長は何度目かの溜息を付きました。
その時、闇の森の警備隊長が王座の前に現れました。急いで来たようなので、何か起こったに違いありません。


「王!南のドル=グルドゥアより、オークの軍勢が!!」

「大声を出すな!!!!!」

「王の方がよっぽど大声ですよ」


自分の大声はいいんだ、自分のは。
王様は顧問長のツッコミに、間髪入れず返しました。

ドル=グルドゥアとは、闇の森南部にある砦の事。
そこには、ひとつの指輪を作った、この世界の悪である指輪の王サウロンを主とした、オークの軍勢が住み着いているのです。
闇の森のエルフたちは、何千年か前に森の南部を奪われました。
かつては緑森大森林という名前だった美しい森は、闇の影ですっかり昼間でも光の差し込まない森となり、闇の森と改名せざるをえなかったのです。

そして、森の南部を支配しているオークたちは、王様が統治している北部の森をも奪い取ろうと、何度も戦を仕掛けてくるのです。
その度に、本来争いを好まないシンダァルエルフとシルヴァンエルフは、武器を取り、森を守る為に戦ってきました。
王様は、シンダァルの誇りとシルヴァンエルフの生活を守る為に、オークと戦い、今日まで北部の森を守り続けてきました。
そして今日も、オークが戦を仕掛けてきたのです。


「その数は100足らず。大蜘蛛は来ていない様子であります」

「・・・・・・・・・・う〜・・・・・・ん・・・・・・」


唸り声をあげつつ、額に手をついている王様の姿は、警備隊長にこう思わせました。

王があんなにお悩みになるとは・・・それほどまでにオークどもを脅威に思われているのだろうか。いやいや、きっと王は戦略を練られているに違いない。我らの王がオークどもを恐れるなどある訳がない。

本当の理由は二日酔いだからです。
王様は、南よりやって来るオークの事など気にしていませんでした。
王様は、どうにかして二日酔いを克服しなければ、という気持ちでいっぱいだったのです。
それを見抜いた顧問長は、王様に賛美の眼を向けている警備隊長に言いました。


「警備隊長。戦士を30、連れて行かれよ。大蜘蛛がいないのであれば、接近戦で片付けられよ。決して街道より北に進ませるな」

「はっ・・・」


一礼をすると、警備隊長は玉座の間から出て行きました。
顧問長はまた溜息を付き、今夜の事を考えました。
きっと王様の事です。今夜も宴をするに違いありません。
戦を仕掛けてきたオークを、全滅させた祝いの宴だと言って。


「王。今日は宴を開いてはなりませんよ」

「・・・・・・・・・・何故だ」

「二日酔いで、こんなにも苦しんでいるのに、まだ宴をやるおつもりだったのですか!!?」

「・・・・・・そうだ、エルロンドのデコに来てもらおう・・・アレに二日酔いを治して貰うのだ・・・さすれば宴を開く事が出来よう・・・」

「なっ・・・!!バカを言わないで下さぁい!!!」


結果、顧問長が王様に勝てる訳もなく、裂け谷というエルフの館から、主であるエルロンドがやって来ました。
王が怪我を負ってしまった、我々にはどうする事も出来ない、と。
そして闇の森にやって来て、当然喧嘩になりました。


「そんな事でわざわざ私を呼んだのか、貴方は!!!」

「そんな事とはどーゆー事だ!私にとっては一大事なのだぞ!!今夜の宴を開く事が出来ぬという事は!!!いいから治せ、ハゲロンド!」


裂け谷の主も、闇の森の王様には勝てません。
結局、王様はエルロンドによって二日酔いを治してもらいました。
治してくれたエルロンドを宴に招待して、少しは機嫌を直したみたいです。










スランドゥイル様はお酒に強いんです
いっつも飲んでるから
でもエルフって二日酔いするのかしら

指輪事典なるものを買って
大分勉強したから、萌えてきた(ェ)
シルマリル読みたくてしゃーないっす
マエズロスを見たい、読みたい、愛でたい

そしてUTという終わざりし物語(?)というのも読みたい
スラパパについて、ちょこっと書いてある噂♪










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